黒川の出前帳
電話口などで、名前を伝えるというのは、なかなかやっかいなものです。
「高柳育子」、程度なら、「高い低いの高に、植物の柳、育つ子」でこと足りますが、珍しい名前になる程、苦労は多いようです。
職業柄、「劇団前進座」で、領収書をいただく必要のあることがあります。「劇団」はさておき、問題は「前進座」です。
「前に進む、に一座の座、」ですらすら行く場合はよいのですが、「座布団の座!」でやっと通じたこともあります。
こちらも伝票記入のさい、「楽屋消耗品、洗剤代」と書いたつもりが「洗済代」になっていたりしますので、人様の漢字能力について、あれこれ言えた義理ではありませんが。
さて、楽屋では、大量に出前をとることがあります。一人ひとりが取っていたら、大変混乱しますので、係(生活係と呼ばれる)が適当な店をみつくろって希望をとり、まとめて注文します。
「○○文化会館、大ホールの楽屋ですけど、1時にかつ丼3つ、卵丼5つ、天ぷらうどん2つ・・・とりあえず3号楽屋の△△に声かけてもらえますか?」てな具合です。
この△△=生活係、前回の一座では、黒河内雅子(くろごうちまさこ)さんが担当してくれていました。
この「黒河内」という印象的な苗字が、なかなか各地の店の方には通じにくかったようです。「黒い白いの黒に、河内音頭の河内、と書いて、クロゴウチ、と読みます、いえコロゴウチではありません・・・・」という攻防に疲れた黒河内さん、とうとう「○号楽屋の【黒川】までお願いします」と、出前用Nameを名乗るようになりました。
初めてそう名乗っているのを聞いて、大ウケしたのは私だけで、実は前々回の「法然と親鸞」の旅から、出前の時は「黒川さんに頼む」というのが浸透していた模様です。確かに、浸透していなかったら、「え?こちらには黒川なんていませんよ・・・」てなことになりかねませんからね。
ちなみに、今までで、一番難しいと思った苗字は、「八月一日」さんです、「ほづみ」さんとお読みするそうです。
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